政治とケータイ 嶋聡著 朝日新書
ソフトバンク社長室長日記
著者は衆議院議員を9年間務めた嶋聡氏
彼自身も引用しているトフラーが言っている
政治の世界は時速3キロだがビジネスは時速100キロ・・・
ソフトバンクは時速200キロというくだりがよい。
時速3キロの世界からやってきた著者が
時速200キロの世界にて活躍する。
時速3キロの世界が規定した法律の如何によって
時速200キロのソフトバンクの進む先が規定されるのだから
時速3キロを馬鹿にしてはいけない。
そして、時速3キロでしか進んでいないように見せかけて、
実は、政治というものは、物事を時速3キロで進めるために
時速200キロ以上の力を水面下で回し続けなければならないといことを
感じさせてくれる、ビジネスと政治を具体例を通して結びつけて考えさせてくれる
貴重な一冊といえる。
私自身、政治というものは、ビジネスのブレーキにしかならない
敵対すべきものという考えを持っていたが、どうやらそうではないらしいということを
気づかせてくれた本である。
たとえば、ソフトバンク社長の孫正義が総務省の机をたたいて抗議したことにより
これまでNTT側が存在しないと主張していたダークファイバー(使用していない光回線)を
使用できるように引き出したエピソードは有名かつ、小気味良い話ではある。
しかし、その手法は超巨大企業となったソフトバンクの
政治への関わり方としては稚拙である。
政治には政治の論理(水面下で時速数百キロの力で加速し水上では時速3キロにみえる)
を実践せねばならない。
それは、フェアネスとか、そういうものではなく、そういう(政治という)存在に対する有効な手段である。
ソフトバンクは、レッセフェールを旨にフェアに競争しようとしていたため、政治的な動きをさけてきたのかもしれないが、それではダメだと嶋さんは言っているのだ。
嶋さん曰くの「すこしだけ大人なソフトバンク」にするために彼が尽力していることは、この企業にとって大きいだろう。
また、私自身にとっては、中小企業のうちから政治的な動きをするつもりはないし、そのようなものに対して関係するつもりはないが、将来的に必要になったときに、そういった政治というものをオプションとして取り入れるだけの価値が十分にあるものであることを認識させてくれる一冊となった。
これから、会社を興してゆく人も、大きくしてゆく人も必読の本ではないだろうか。